時計販売職の初心者から時計好きな方へ、時計用工具の使い方のコツをご紹介します。(ピン抜き棒・バネ棒外し)
時計の販売職をしていた経験からの「実践的なアドバイス」です。
時計用工具は持ち方と力加減が大切なのですが、多くの経験をしないと分かりません。
ピン抜き棒の使い方のコツ
ピン抜き棒の使い方のコツは「指先をそえる」です。
工具の選び方
・ピン抜き棒とバネ棒外しの併用がおすすめ
ピン抜き棒は細さの種類が有るので、出来れば3種類くらいは揃えておくのが理想です。
- 初心者の方は少し良い工具で揃えておきましょう、安い工具は曲がりやすいです
- 時計販売職の方は自前で3種類ほど揃えておくと安心
販売職の方は明工舎のバネ棒外しがとても作業しやすくおすすめです。
(バネ棒外しのY先は外して使います)
・叩き始めはバネ棒外しが最適
持ち方とチカラ加減
ピン抜き棒の持ち方は軽くつまむ、そして薬指の指先をピン先にそえて安定させることが重要。指先をそえると叩いている最中にピン先がベルトから離れて抜ける失敗をしません。
ハンマーは叩くというよりピン抜き棒に当てるというイメージで優しく叩きましょう。
■ 持ち方
- 人差し指、中指、親指の3本で軽く持つ
- ピン先に薬指の指先をそえて安定させる
・指先でピン先とベルトを繋ぎとめるイメージ
■ ハンマーのチカラ加減
- ピン抜き棒を叩くのでは無く、当てるイメージで使う
- ハンマーを握るので無く、軽く振る様に持つ
・一度でなく、数回で動かす意識で叩く
ピン方式ベルト調整のポイント
ピン抜き棒とバネ棒外しを揃えている場合の手順。
- 最初はバネ棒外し工具を使い、優しく叩きピンが少しでも動けばOK
- ピンが少しでも動いたら細めのピン抜き棒に変えて抜く
解説:ピンが動くまではバネ棒外しの短いピン先の方が力が確実に伝わる、そして曲がりにくい、ピンが少しでも動いたら軽くなるので細めのピン抜き棒で押し出すと抵抗も少なく抜けます。
最初から長いピン抜き棒を使うと、抵抗が強いと曲がってしまう場合があります。ピン抜き棒は曲がってしまうとピンに適切に力が掛からなくなるので注意。
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バネ棒外しの使い方のコツ
革ベルト交換は時計に傷を付ける可能性が高いので注意が必要。
ポイントは「引き寄せる」です。
工具の選び方
・初心者はY先が短いタイプがおすすめ
バネ棒外しのY先は太いとスキマに入れにくいので、できれば少し細く薄めの工具がおすすめ。
初心者は先が短いタイプが使いやすいでしょう。
(慣れると精密マイナスドライバーが一番使いやすくなります。)
持ち方とチカラ加減
慣れるまではおすすめの方法です。
ただし個人個人で力の入れやすい方向が違うので、慣れてきたら色々ためして自分の方法を見つけてください。
■ 持ち方
- バネ棒外しをしっかりつまんで中指を先にそえる
- 左手で時計本体をしっかり持ち、親指人差し指でラグを持つ
・ラグをしっかり持つ
■ 方向と力の入れ方
- ベルトは必ず時計の裏側へ外すこと、キズが心配ならラグにセロテープを貼っておく
- 右手全体を自分に引き寄せるように力を入れる
・無理にこじらない様に注意
革ベルト取り外しのポイント
革ベルトの高級品は肉厚ですき間が狭く難しいですが、決してこじらないコト。
- バネ棒の位置を冷静に予測する←重要!
- 絶対にテコの力を使わない←超重要!
解説:バネ棒が革ベルトで隠れているので工具の差しこみポイントが分かりにくいが、革ベルトの角度を変えたりすると分かりやすくなります。
バネ棒外しでテコの力を使うと解説しているHPなどもあるが、テコにするとラグが凹んだり時計にキズがつく可能性があるので絶対にしてはいけません。
「補足写真解説」
・バネ棒の引っ掛けるポイントを理解しよう
・時計本体をクロスで保護して持つ
・慣れてきたら先の細い精密ドライバーがおすすめ
あとがき
この記事は、初めて時計販売職についてドキドキしながらベルト調整・交換をしている方を想像して記事にしています。
売り場に良い先輩がたくさんいればいいのですが、数時間の研修だけでいきなり売り場へ…というコトもあります。
先輩が休憩で売り場で一人に…はじめは緊張しますよね。
いずれ皆さん上手くなりますが、はじめに苦手意識が付かないように工具の組み合わせと使い方をアドバイスさせて頂きました。
参考になれば幸いです。
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